Archive for the ‘肥料・飼料’ Category

9月30日 北海道産たんぱく質飼料

今日で9月も終わりです。明日10月からは、また配合飼料価格が実質の値上げになるようです。7年後の東京オリンピックの開催も決まり何となく世の中、景気回復と言う雰囲気が漂う中、ちょっと穀物自体が安くなった所で円安の状況が続く限り、輸入品価格は下がることはありません。特に今年は自給飼料であるデントコーンが病気や台風の影響による倒伏などで、収穫量が落ちていると言う話を各地で聞きます。しばらくは酪農家さんにとって厳しい状況が続きそうです。

さて現在、当社では国産飼料の自給率向上を目指すべく、農研機構北海道農業研究センターと北海道産ナタネカス飼料利用の共同研究を行っています。私が社外の役員を引き受けている㈱エコERCでは、北海道産ナタネの栽培、搾油を手がけていますが、北海道内で栽培されているナタネは「キザキノナタネ」と言う品種がほとんどで、この品種の油カスは、残念ながら飼料として利用することは出来ません。現在は北海道内の一部で栽培されている収量性の若干低下する「キラリボシ」と言う品種が、グルコシノレート、エルシン酸をほとんど含まないと言うことで飼料としての使用が認められています。現在は芽室町にある㈱大野ファームさんで少しではありますが飼料給与を行っていただいています。

先日、十勝管内池田町で「キラリボシ」の秋播きを行い、その状況を確認して来ました。

およそ5ヘクタールに播種を行いました。


9月11日に播種を行い、越冬前までに畝が塞がることが目標です。

ナタネは油糧作物であり、一番の目的は油を搾ることです。一般的にナタネ油と言うとキャノーラ油を思い浮かべる方がいると思いますがキャノーラと言うのは、アメリカのモンサント社が開発した遺伝子組み換えのナタネの品種名です。石油系の薬剤を用いて溶媒抽出を行い、スーパーなどの特売品の代名詞になってしまったような食用油ですが、本物の身体に良い油は色も香りもあり、全く別物と言っても良いほどです。そのような本当に身体に良い油が一般消費者にもっと受け入れられれば、家畜の飼料に回る油かカスも増えることになるのですが。


6月4日 発芽の季節

6月に入りました。アベノミクスによる為替と株価の乱高下同様、北海道内でも地域によって極端な気温の寒暖差があるようです。先日、北見方面の取引先との話の中では、既に植えつけたジャガイモが畑の中で腐ってしまい廃耕にした圃場も出ているようです。これも自然の厳しさなんですね。

農業に関わる仕事を長年やっていても、毎年この発芽時期は特別なものを感じます。

たった一粒の小さな種から、牛の飼料となるデントコーンや、砂糖の原料となるビート、ポテトチップスの原料となるジャガイモなどがこれから収穫の秋に向けて大きく育っていくことを祈らずにはいられません。


2月26日 十勝のエコフィード事情

記録的な降雪と寒かった2月も残り3日、今年はいつもの年以上に春が待ち遠しく感じます。

政権が変わり輸出産業を中心として株高、円安が進行しています。輸入資源に依存する農業経営においてはそれほど円高メリットの実感が無いまま、燃料を始めとして飼料・肥料などの価格の値上がりは早いものだと感じます。

TPP問題も、良く分からない言葉の表現で何となく参加方向が決まってしまったようですが、この国の国益とは一体何かが今後明らかになっていくのでしょうか?

輸入穀物に依存する国内の畜産業ですが、先日、地元十勝でのエコーフィードに取り組む現場を見る機会がありました。


中小企業家同友会とかち支部の会員企業でもある音更町にあるタイセイ飼料株式会社、売上の大半は配合飼料の販売が占めますがそれでも大きな設備投資を行いTMRセンター向けなどに副産物を原料にしたエコフィードを製造しています。


芽室町にある和(有)大地飼料販売では、今から17年前カルビー帯広工場の操業開始とともに排出される原料からエコフィード製造が始まりました 。

意外と近くにありながら見る機会があまり無かった地域のエコフィード事情に少し触れることが出来ました。この十勝では既にビートパルプや規格外の農産物などが既に飼料として利用されている実績があります。養豚などと違い法律規制がある反芻動物が多い十勝、また大都市圏と違い食品工場などの数自体があまり多くないこの地域では、未利用資源はもうそれほど多くは無いと思いますが、生産現場としては品質の安定性、供給、価格という面から見てもまだまだ配合飼料に分があるのが現実ではないでしょうか。


1月31日 愛知同友会東三河支部農業研究会

1月も今日で終わり、時間が過ぎるのが早く感じます。これを「ジャネーの法則」と言うのだそうですね。今日、聞いていたラジオで言ってました。この法則は生涯のある時期における時間の心理的長さは年齢に反比例するのだそうで19世紀のフランスの哲学者ポール・ジャネが発案したのだそうです。もちろんブログ書き込みのサボりの言い訳なんですけどね。

先日は、関東方面への取引先回りを含め愛知同友会東三河支部の農業研究例会に出席して来ました。

まだ発足間もない東三河支部農業研究会が会員と非会員向けに行った例会で「これからの農業経営を考える」北海道の先進事例から学ぶと言うことでせん越ながら、私と(有)中藪農園中藪社長、㈱大野ファーム大野社長の3人がパネリストとなり、それぞれの経営内容や同友会農業経営部会との関わりを(有)環境テクシスの高橋社長のコーディネートによりお話させて頂きその後、例会に集まられた会員、非会員の方々と質疑応答を行いました。

今回の例会出席は7月にとかちで開催される”食と農”連携グループ全国交流会inとかちのアピールという重要なミッションもあり、例会また例会終了後の懇親会の場でしっかりと任務を遂行させていただきました。

 

翌日は、パネルディスカッションでコーディネーターを努めた高橋さんのまたまたコーディネート兼運転手で、農業関連企業さんや会員企業さんを訪問させていただきました。

非会員ですが、高橋さんの取引先でもあり現在熱心に入会を勧めている創業85年の地元の飼料販売店です。とかちにある飼料会社とも取引があるそうです。輸入飼料やサプリメントなどは全国共通のようでした。


酪農家さんも訪問させて頂きました。地域柄粗飼料畑は全く無く、配合飼料はもちろん牧草も全て購入していました。排泄される糞尿は全て堆肥化され近所の野菜や果樹農家が引き取って行くそうです。変敗したサイレージなどを給与していないせいか意外と牛舎近辺の臭いは少なかったですね。


同友会会員の株式会社 清須ライスセンターさんでは、 精米、加工品のネット販売の他に16町の水田の田植えや収穫などのコントラクター事業も行っているそうです。ちなみに16町歩は200枚ほどの田んぼだそうです。


高橋さんが経営されている(有)環境テクシスさんでは食品工場などから出る廃棄物を飼料化する事業を行なっています。ホワイトボードに書いてあるのは今週の給食の献立ではありませんよ!この地域で有名な「うなぎパイ」もありますね。食料自給率が40%を切り、食品の廃棄と言うことが大きな問題になる中 、高橋さんは大学で勉強した知識を生かして食品リサイクルという立派な仕事を行っていますが最近の飼料高などの影響もあり年々その取り扱い量は増えているようです。


最後は中藪社長のジャガイモや大野社長の牛肉の取り扱いを行っているスーパーサンヨネさんを見学させて頂きました。残念ながら同友会会員企業さんではないのですが地元では生鮮品の取り扱いが良いお店として単位面積売り場の売上金額も全国の中でも有数のスーパーなんだそうです。お昼前の訪問でしたが幅広い年齢層のお客さんが大勢訪れ、店員さん達も活気がありとても明るいお店だと感じました。企業理念が「ステキな会社をつくりましょう」なんて本当にステキですね。中藪さんと店長さんで中藪さんのコロッケを持って!

我々の持つ愛知県のイメージは自動車などの輸出産業しかなかったのですが意外と農業生産でも養豚や養鶏などの畜産を中心として大消費地を控えた葉物野菜などの生産も多いようです。しかしながら経営規模としては家族で兼業が多いと言うのもやはり府県農業の実態なんですね。北海道は経営規模が大きいとはいえ、やはり消費地から離れておりその物流コストがネックになりますが大消費地に近い分、また多様な経営形態の展開の可能性を感じました。いずれにしてもそのための異業種交流を含め同友会を活用した学びは絶対に有効であると思います。


8月22日 いよいよ転換を求められるのか十勝の畜産?

暑い日が続いています。一昔前だとお盆を過ぎると秋風が吹くなどと云われていましたが、最近はお盆が過ぎても真夏日と蒸し暑さが続きます。海外では日本国内の家畜用飼料となるトウモロコシの大半を生産しているアメリカの穀倉地帯の熱波は半世紀に一度といわれるほどの深刻な生産の減少とそれに伴い相場が過去最高値を更新しています。新興工業国の経済成長と食生活の変化により、世界的に飼料用穀物の争奪が繰り広げられ、片や少子高齢化による人口の減少、で買い負け状態に追い討ちを掛けるかの如く飼料穀物価格の上昇が国内畜産業を急激に圧迫することは火を見るより明らかです。
輸入穀物を原料に作られる配合飼料は価格も含め安定的に供給されることが前提で成り立ってきた畜産経営を根本的に見直さなければいけない状態が遂に訪れてしまったようです。
本来、牛などの反芻動物は人間と競合しない草という資源を主食としミルクや肉の生産を行うはずの畜産経営がいつの間にか一時の穀物輸出国の戦略物資となり、脂を多く着けた肉が高値で取引され、穀物を多給することにより一頭当たりの乳量を経済動物だからという名のもとに追求してきた結果が今日に至ったわけです。
しかし残念ながら、永年、生産現場を見てきた私が感じることは決してこの状態は持続性のある経済活動では無かったということです。過剰な穀物の給与により病気や内臓廃棄率の高さ、家畜としての寿命の低下、この現状に疑問を抱く現場の農家の人も決して少なくは無かったのですが、経営のため強いては生活のため、また自分ひとりの力ではどうしようも無いことと云った話を数多く聞いてきました。

今後、輸入穀物に取って代わるエサがあるのか、エコフィードなどのリサイクル飼料や飼料米の生産を増加させ畜産を支えていくのか私にはその答えは持ち合わせてはいませんが、もう今まで同様の経営形態を続けていくことはかなり難しい状況になったことは間違いないと思います。


12月28日 生産者自らの土作り勉強会

今日で当社も仕事納めになります。この1年間お世話になったすべての取引先の皆様ありがとうございました。来年も皆様方のお役に立てるよう企業努力していきたいと思います。

先日はクリスマスにも関わらず、開催された農家の皆さん方による自主的な土作りの勉強会に参加させていただきました。

講師を務めたのは(有)中藪農園の中藪社長です。中藪社長の永年にわたる経験と大学の先生方などとの交流で得られたノウハウを提供していただきました。内容は化学性、物理性、生物性という土の持つ特性から始まり、実践的な肥料設計までと非常に中身の濃い内容になりました。やはり実践に勝る学問にはかなわないですね。ちなみにわが社の「骨炭」もしっかりPRしていただきました。


11月10日 肥料造粒実験その2

いよいよ来週は日本海側では雪のマークが出始めました。ただ札幌などの初雪の観測はかなり遅れているようです。

為替相場の円高にも関わらず原料の大半を輸入に依存する肥料価格がさらに上がっているようです。

今年の7月に続いて、製糖工場から排出される「骨炭」の造粒試験を札幌にある工業試験場で行って来ました。
製糖工場から排出される骨炭は、そのサイズが20ミクロンと小さく、とてもそのままでは肥料としてのハンドリングが悪すぎて使い物になりません。
造粒には幾通りかの方法がありますが、今回は工業試験場にあるペレットマシンでの造粒を試みてみました。

その結果がごらんの通り

予想していた以上に強度や形状も保持することが出来、きれいなペレットが出来上がりましたが問題はこれを実験ではなく事業レベルでどれだけのコストで加工できるかが次の課題です。


10月16日 オールインワンスラリーを目指して

リン酸肥料の価格が、また上がりそうな気配です。8月に中国化学鉱業協会は第12次5ヵ年計画(2011~2015年)に合わせた「化学鉱業発展計画」を公表、リン鉱石を従来とはケタ違いの重要資源に位置づけ生産規制を強化するとともに、備蓄制度も創設する方針を打ち出した。
(9月6日付け化学工業日報より)

農業生産にとって非常に重要なリンは、その原料となるリン鉱石を100%輸入に依存しています。その輸入先もアメリカが1990年代後半にリン鉱石そのものの輸出が禁止になり、日本は現在中国から多くのリン鉱石を輸入していますが、第2のレアアースになりかねない状況があります。

当社では、以前よりリン酸肥料を「骨炭」という形で、商社を通じて輸入販売を行って来ましたが、今年から日本国内にある製糖工場(残念ながら北海道内の製糖工場では製糖原料が違うため骨炭は使っていません。)で原料糖のろ過に使用された後の回収骨炭に切り替えました。回収骨炭ということで価格的にも安く、肥料成分は従来の輸入骨炭と変わりません。

ただ、回収骨炭ということで、粒子サイズがバラつくのが難点で、特に微粒子状(測定したところ20ミクロン程度)のものはハンドリングも悪いのですが、逆にこの微粒子状ということを活用してスラリーストアに直接投入しスラリーに不足するリン酸を補給してやろうということになりました。

 

 

 

 

 

 
当社の取引先の広尾町にある(有)ミックランデーリィさんに協力してもらい先日、投入試験を行って来ました。3,300㎥もある巨大なスラリーストアに、もうもうと骨炭の煙が舞い上がります。

とりあえず、スラリーを攪拌しながら投入しましたので、後日、これがどれだけ沈殿しているかを確認します。

 


9月19日 菜の花サミットinとかち

ナタネなどの油糧作物から地域循環型のエネルギー社会の構築を考える「第11回全国菜の花サミットinとかち」が開催されました。1日目はホテル日航ノースランドを主会場に篠原孝前農林水産副大臣の「今こそ農林漁村・農山漁村元気の日本へ」テーマに続き、林野庁林政部の末松広行部長が「食とエネルギーの安全保障を考える」の二氏の基調講演で始まりました。

東日本大震災の発生で中止も検討された「菜の花サミット」でしたが、開催を6月から9月へ変更して行われました。残念ながら十勝の広大な畑に咲き乱れる菜の花の光景を参加者の皆さんに見てもらうことは出来ませんでしたが、大震災発生以降の食とエネルギーをどのように考えていくのかという側面からは、大変有意義なサミットではなかったかと思われます。

当社は、「十勝ナタネ油カス」と「油カスボカシを」展示させていただきました。


9月3日 なたね会議

収穫の秋、本番を迎えていますが、お盆明け以降どうも十勝らしい秋晴れにお目にかかれません。台風の行方も気になります。

先日、札幌で道主催のナタネに関する打ち合わせ会議に㈱エコERCの役員として出席して来ました。今年度から始まった戸別所得補償制度の対象品目にソバとナタネが対象になったことを受けて3月にも一度開催され、今回が2度目の打ち合わせ会議でした。

ナタネは搾油用の子実収穫を目的に昭和30年代までは全国で20万ヘクタール以上の作付けがありましたが、一時は輸入物のナタネに押され作付面積も全国で数百ヘクタールまで落ち込みましたが、最近の環境問題や食に対する安全性の意識の変化などにより、平成22年度では全国で1700ヘクタールほどの作付けになり微増の傾向にあります。

しかしながら安定的な種子の確保や、使用農薬の登録問題、また搾られた油では輸入物のキャノーラ油との価格差は数倍以上あり、生産をしても販売などの面でも工夫が必要な状況もありますが搾りかすの肥料や飼料への利用、景観作物やエネルギー利用など可能性を含む作物であることは間違いありません。


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