Archive for the ‘農商工連携’ Category

3月14日 十勝産小麦100%までの道のり

大阪出張から帰って来ました。昨日の大阪は雨降りで最高気温が20度と我々北海道人にとっては体調を崩しそうな暖かさでした。

先日、今年度最後の農業経営部会の例会が開催されました。

十勝でパンと言えばますやのパン、㈱満寿屋商店の杉山雅則社長に十勝産小麦100%使用の話題提供を頂きました。
1950年創業のますやパンでは今から23年前より今は他界された先代の社長が地元産原料でのパン作りに取り組み始めました。
先代の遺志を引き継ぎ近年、100%十勝産原料に切り替えることに成功しました。

パン製造業界では圧倒的に輸入原料が多く、品質が安定しない地元産原料でのパン作りを試行錯誤を重ねながら取り組んで来ました。
品質が安定しないことでパン職人からは文句も出たそうですが、現会長で杉山社長のお母さんは職人達にいかなる原料であってもその原料で良いパンを作ることがあなた達の仕事だと言って地元産原料を使い続けさせたのだそうです。


地元でパン用小麦の栽培には当初ペーパーポットで苗作りから始めたと言う話には出席者一同から驚きの声が上がりました。

現在、杉山社長は地元のパン屋さんたちと「十勝パンを作る会」を立ち上げたり、自ら石釜を持ち歩き学校などでピザ・パン教室を開催するなどし食育活動なども積極的に行っています。
杉山社長は今後もいかなることがあっても地元で作られた小麦を原料にパンを焼き続けると断言されました。我々もそのパンを買うことによってこれからも「ますやのパン」を応援していきたいと思います。ますます、「ますやのパン」が好きになりました。ますが多すぎますた!(笑)


5月14日 優先順位

5月も中旬になりましたが、GW中の大雨の影響で未だに乾き切っていない畑が一部に見受けられます。明日からもまた雨の予報が出ています。

農商工連携事業などに関わっていることもあり、本業とは別ですが農業者の方から加工や直接販売、商品作りなどの相談を受けることがあるのでちょっとエラソーに書かせてもらいます。

無責任な国や行政は、これからは六次産業化だ、農商工連携で新たな活路を見出そう!などと一部の先駆者の成功例を引き合いに出し、声高に叫んでいるようにしか私には聞こえないのです。特に最近の気象変動の影響と思われる天候条件化においては質・量ともに安定的な生産を続けていくこと自体も以前にも増して難しくなってきているように感じています。

今の世の中、モノが溢れています。食料自給率が40%と言ったところで、どれほどの人たちが現在の状況に危機意識をもっているのでしょうかTPP議論にしても、農業生産現場以外からのこの問題に関する関心度合いが感じられないのも私だけではないと思います。このような少しまともではないと感じる世の中で農業者自らが生産・加工・販売すべてを手がけて簡単に成功するほどこの国で事業を行なうことは甘くありません。人口が減少していく中、ますますパイの奪い合いも熾烈になっていくことでしょう。

ただ私は六次産業化や農商工連携がダメだと言っているわけではありません。立派に事業化へ結びつけた事例もありますが、もし農業経営をそのような方向へ持っていこうとするならば、今やらなければいけない優先順位があるのではないかと言うことが私が常日頃感じていることなのです。

その一つは、現在の経営の財務内容をしっかりと行うこと、丼勘定や年末にJAへ行ってクミカンの整理で怒られて?いるようではお話にはなりません。しっかりとした黒字経営をしなければいけません。

二つ目として、農業生産のための技術を確立すること、極端な天候の変動がある中、より”安定的に作る技術”が重要になってくると考えます。
以前、ある優秀な農業経営をされている方が、地域平均より生産コストを押さえ、地域平均より上の質と収量を取る生産を継続的に行うことが目標だと言われました。当たり前と言ってしまえば当たり前のことかもしれませんが、それを実践することが農業の難しさなのでしょう。

もっともそれが、実践されれば立派な経営内容になると思われますが、どう考えますか?


6月9日 六次産業化は簡単じゃないよ

 昨年の都道府県別食料自給率が発表されました。我が北海道は天候不順などの影響を受けて、前年度から23ポイント低下の187%だったそうですが、この発表って大きな意味があるんでしょうか?意地悪な言い方をするならば人口が少なくて土地が広く、さしたる製造業も無いからこのような数字になるのは必然的ですよね。

 以前にも書いたことがありますが、食料自給率をカロリーベースで換算するのは世界中で日本と韓国だけだそうです。それでは輸入穀物に依存する畜産は?多くの肥料やその原料をを輸入に依存する畑作は?農業生産に掛かる資材やエネルギーの多くを輸入に頼っている現実がある以上、この食料自給率という数字を素直に受け取ることが出来ません。

 そんな国が今年の3月に施工された「六次産業化法」=地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律ですが、先日、その認定事業者が発表され、十勝管内の認定事業者5件のうち4件が同友会会員企業でした。
 同友会会員企業は以前から経営の負荷価値を高めるために様々な取り組みを行ってきていますから、ある面、得意の分野かもしれません。

 同友会内には私も所属している「農商工連携研究部会」という組織があり、こちらは農業者単独ではなく商工業、いわゆる異業種同志の連携ということで、それぞれの専門分野の企業が集まっていますので、お互いの信頼関係を構築し「餅屋は餅屋」精神で新事業を作り上げて行こうというものです。

 モノが溢れているこの国で新たな事業や商品、サービスを立ち上げることは簡単なことではありません。


12月16日 ベストヒットかロングセラーか

いやぁー今朝は冷え込みました。帯広の最低気温はマイナス14.6度、管内の陸別町では23度を下回ったそうで、暖冬などとの言葉に油断は出来ませんね。

 ところで、ちょっと前に入荷してもすぐに売り切れる「食べるラー油」なるものがありました。
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一時期のブームが去ったせいか、我が家にも桃屋のラー油がやってきました。
元々、ラー油は、沖縄などで作られたモノがブームの発祥らしいのですが、やはり大手メーカーの広告宣伝力にはかないません。
 
現在、同友会帯広支部では今年度より「農商工連携研究会」が発足し、商品開発や農村観光、流通研究など様々な活動が行われています。

通常、我々のような中小企業においては莫大な広告宣伝費をかけられるわけもなく、必然的にベストヒット商品よりは口コミで広がっていくような息の長い商品開発を狙うべきと考えますがどうでしょう。

某お花の畑の牧場の「生キャラメル」も一時期の売れ具合は無いようです。元々ロングセラーを狙っていたわけでもないんでしょうけど?

私自身、事業も同様に流行に左右されない息の長い事業経営を目指したいと考えています。あえて言うなら「食べるラー油」よりも「江戸むらさき」的経営かな?


12月10日 ”やまけん”が来た

昨日は、斎藤佑樹の入団セレモニーが札幌ドームで行われ、佑ちゃん一色の日でした。何だかんだ言っても経済効果はあるんでしょうねぇー。まぁこれも良しですな。

現在、同友会帯広支部の主催で「農商工連携人材育成セミナー」というものを開催しています。昨夜はそのカリキュラムが公開という形で行われました。講師はブログの「やまけんの出張食い倒れ日記」で有名な㈱グッドテーブルズ代表取締役山本謙治氏で「農産物の流通構造」~日本の食糧事情と消費動向~のテーマでの講演でした。

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 コンサルティングや講演で1年の半分を全国各地を飛び回っている”やまけん”ですが、現在の日本の食のおかれている現状、そのニーズに対するモノ作りと2時間半連続でしゃべりまくりました。

 なかでも非常に興味的だったのは「エシカルソーシング」(倫理的調達)という話でした。仕入先を買い叩かないことや、生産過程においてコストを下げるために反社会的な生産が行われていないことなどが一つの消費基準になることで、何でもかんでも安けりゃいいというものにある程度歯止めをかけることにつながり、また、その商品を買うことが社会協力や環境問題にも貢献するという考え方だそうで、安売りで有名なアメリカのウォルマートの安売りを監視するNPOがあるという話にはびっくり!しました。

また、これから注目の食材は”国産の植物性油”だそうで、我々が現在取り組んでいる北海道産のナタネを化学薬品を用いないで低温圧搾する風味と香りを損なわない油の可能性を感じました。
 
最近、話題になっているTPPに関しては、農業VS他産業で論じるべきではなく、食べ物VS食べ物以外で論じるべきとの考え方を示しました。


8月7日 十勝亜麻産業活性化セミナー

昨日の帯広の最高気温は35.9度、東京より暑い今年2度目の猛暑日でした。ラジオの天気予報によるとここ数日が夏のピークだとか。暑いと言えばいよいよ今日から夏の甲子園が始まります。すでに夏が終わってしまった我が家の高校球児ですが、親子共々今年の甲子園は特別な思いを持って試合観戦を楽しみたいと思います。

先日は新着情報でも案内をしていた「十勝亜麻産業活性化セミナー」へ出席してきました。
亜麻は明治の時代から十勝管内で14000haも栽培されて夏場の貴重な現金収入を得ることが出来る作物だったそうです。農家のある世代以上の方に聞くと昔はよく亜麻抜きを手伝わされたと聞きます。昭和40年代に入り化学繊維の普及により日本では産業としての栽培はなくなりましたがヨーロッパなどでは有害物質を含まず人体や環境へ害を及ぼすことの無い素材として、建築資材、自動車など様々な分野への利用の研究が進められているようです。
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更別村で亜麻の試験栽培を行っている(有)コタニアグリさんの圃場では開花が終わり着実期に入っています。


8月4日 各地で始まっている農商工連携

7月の管内の気象概況が発表されました。平均気温が高く降水量も多い「高温多雨」が目立ったようです。
気温が高く雨が多いと病害虫の発生にとっては好適な条件となり、特に低農薬栽培などに取り組んでいる生産者にとっては大変と思われます。

先日、農商工連携研究会が発足したばかりですが、現場ではすでに様々な取り組みが始まっています。

当社の取引先である音更町の西田農場さんでは山梨県にある株式会社ビオクラ食養と連携し商品の原料使用される大豆や小麦の生産を「ビオクラ」の生産基準に乗っ取って行っています。「ビオクラ」はつい先日の新聞にも掲載されましたが新得町内に小麦の乾燥工場や関連施設をを新設し本格的に十勝の生産者と連携しながら商品開発を行っていくようです。
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現在収穫している小麦も新得町内の乾燥施設へ運ばれます。このコンバインも「ビオクラ」が購入したものだそうです。ちなみに操縦しているのは京都から遊びに来ている西田さんの高校2年生のお孫さんです。


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