Archive for the ‘資源’ Category
8月22日 いよいよ転換を求められるのか十勝の畜産?
暑い日が続いています。一昔前だとお盆を過ぎると秋風が吹くなどと云われていましたが、最近はお盆が過ぎても真夏日と蒸し暑さが続きます。海外では日本国内の家畜用飼料となるトウモロコシの大半を生産しているアメリカの穀倉地帯の熱波は半世紀に一度といわれるほどの深刻な生産の減少とそれに伴い相場が過去最高値を更新しています。新興工業国の経済成長と食生活の変化により、世界的に飼料用穀物の争奪が繰り広げられ、片や少子高齢化による人口の減少、で買い負け状態に追い討ちを掛けるかの如く飼料穀物価格の上昇が国内畜産業を急激に圧迫することは火を見るより明らかです。
輸入穀物を原料に作られる配合飼料は価格も含め安定的に供給されることが前提で成り立ってきた畜産経営を根本的に見直さなければいけない状態が遂に訪れてしまったようです。
本来、牛などの反芻動物は人間と競合しない草という資源を主食としミルクや肉の生産を行うはずの畜産経営がいつの間にか一時の穀物輸出国の戦略物資となり、脂を多く着けた肉が高値で取引され、穀物を多給することにより一頭当たりの乳量を経済動物だからという名のもとに追求してきた結果が今日に至ったわけです。
しかし残念ながら、永年、生産現場を見てきた私が感じることは決してこの状態は持続性のある経済活動では無かったということです。過剰な穀物の給与により病気や内臓廃棄率の高さ、家畜としての寿命の低下、この現状に疑問を抱く現場の農家の人も決して少なくは無かったのですが、経営のため強いては生活のため、また自分ひとりの力ではどうしようも無いことと云った話を数多く聞いてきました。
今後、輸入穀物に取って代わるエサがあるのか、エコフィードなどのリサイクル飼料や飼料米の生産を増加させ畜産を支えていくのか私にはその答えは持ち合わせてはいませんが、もう今まで同様の経営形態を続けていくことはかなり難しい状況になったことは間違いないと思います。
6月17日 ますます自給飼料が重要に
飼料に使用するトウモロコシ価格もシカゴ穀物市場では過去最高値を更新しているようで配合飼料価格の一段の値上げは必至と見られます。
昨日は稚内、旭川と道北方面へ出張に行ってきました。
稚内樺岡ファームさんではちょうど1番牧草の収穫が始まりました。
400ヘクタール弱の面積をすべてロールパックサイレージにして収穫します。
地域の酪農家から牛を預かり夏場は放牧を主体として種付けまで行い分娩が近づくと酪農家へ牛を返し、その間の預託料が牧場の収入となります。
草地の力を引き出し良質な草を育てることで預託頭数も増え収入が増えるのですが、北海道内の公共牧場はそのほとんどが赤字経営で町村から赤字補てんを受けているのが実情ですが、樺岡ファームさんは立派な黒字経営です。
牧場内のあちこちに積まれているのは地域資源であるホタテの貝殻です。
これをスリンガータイプのマニュアスプレッダーで粉砕し、放牧地の通路や水のみ場などの泥ねい化し易いところへ敷き詰めて使います。
勉強熱心な樺岡ファームの運営を担っている嶋村社長さんは、他にも様々な取り組みを行っていますがトップの考え方ひとつなんですね。
今回の出張は二日間で900kmを走って来ました。さすがに疲れたー!
1月27日 鳥インフルエンザと鶏卵価格
普段はサッカーより野球派の私ですが、サッカーも日韓戦となるとついつい試合をみてしまいます。最後まであきらめない劇的ないい試合でした。
世界的に食料、資源価格が高騰が続いています。チョコレートの原料になるカカオ豆の価格も世界最大の輸出国コートジボワールが輸出禁止の措置を取ったため急上昇しているとか、ただ原因は国内政争によるものらしいですが、近づくバレンタインデーへの影響が懸念されると新聞は報じていますが、所詮菓子業界が仕掛けた販売戦略でしょ。
日本国内では、鳥インフルエンザの感染が拡大の様を呈しているようです。そんな中、先日の日経新聞の一面に(社)日本鶏卵生産者協会の「卵は決して高くない」と言う意見広告が出ていました。内容的には鶏卵価格は昭和28年当時より50年たった現在のほうが安いというものですが飼料価格の高騰や鶏卵生産者のおかれている厳しい経営環境の現状を訴え現状と思いを理解してください。と、閉めているのですが値上を認めてくださいなどとは一言も書いていません。この一面記事は日経新聞にしか出ていないようですがどこの誰に向けて訴えている広告なんでしょうか?私には首をかしげてしまいました。
ニュースなどでは、このまま鳥インフルエンザの感染が拡大していくと鶏卵価格にも影響が出てくる可能性も出てくると報じられています。
鶏卵生産者協会が言いたくても言えなかった鶏卵価格の上昇がこのようなことが原因で訪れるとしたなら何とも皮肉な話です。
1月22日 相手にされなくなってきた?
40年あまり続いてきた世界第2位の経済大国の座も譲ることがいよいよ時間の問題になってきたようです。少子高齢化で経済成長はほとんど横ばい、それに対して人口で10倍の国が経済で10%も成長してくると追い越されるのは至極当たり前の現実ですよね。
テレビのニュースで米中首脳会談が放映されていましたが、もはやアメリカの向いている方向は間違いなく日本ではないことを感じました。
別のニュース番組では次世代の電気自動車のアメリカの電池メーカーは日本のメーカーではなく、中国のメーカーと契約をむすんでいる様子が放映されていました。
輸出によって事業が成り立つ企業群がTPPの締結賛成を唱えるのも当然のことと思います。 拡大していくマーケットと縮小していくマーケットのどちらを選択するかなどということの答えは小学生にだってわかります。
また日本の農業だって消費者(お客様)あっての産業ですから、消費者ニーズ(お客様ニーズ、納税者ニーズ)に答える農業を実践していかなければいけません。
一方、世界的には資源インフレが今後の、趨勢になっていくことは間違いないでしょうし、そのような中、国民が生きていくための糧である食料をどう安定的に自給、輸入を含め確保していくかという問題は国と国民が真剣に考えなければならないでしょう。
人権問題を何とか交渉のツールに使いたいと考えるオバマ大統領でしたが、あの中国の国家主席の無機質な表情に相手にされていなかったように感じたのは私だけでしょうか、したたかさという点では日本の比ではないようです。
オリンピックの柔道などを見ていると決勝で敗れて悔しい2位(銀メダル)の選手の表情と、3位(銅メダル)決定戦に勝ってメダルを獲得した選手の喜びようが違うように、ここは一つ経済も3位という気楽な?ポジションであることを大いに活用し、独自の価値観を作り新たな経済社会を作っていくようにポジティブに考えていけばいいのではないでしょうか。相手にされなくなるのも結構なことでは?
1月7日 あと1年
今日は7日、松の内も今日までということでお正月気分も今日で終わらなければいけませんね。
今が夏の北半球、近年は干ばつによる農作物被害が伝えられていたオーストラリアですが、今度は大雨による洪水だそうでまたまた農作物や石炭など輸出に大きな影響が出そうとのことで季節に関わらず異常な気象が続いていますが、そのような状況下年明け以降、連日のように
TPP問題と国内農業の問題が新聞紙上を賑わせています。しかしながら食料の安定的な確保と国内産業の空洞化を防がなければいけないという両面の問題を解決する道はなお険しそうです。
ところで1年後の来年の1月に何が変わるかご存知の方はいますか?
2012年1月までに新たな若令のBSE感染牛がこのまま発見されないければ日本は晴れて?BSE清浄国になります。それは結構なことなんですが問題はBSE感染牛発見以降継続されている国の肉骨粉適正処分事業の行方です。
現在のところ国は処分のために肉骨粉製造費用、焼却費用を負担していますが、国としてはBSE清浄国宣言と同時にこの事業も中止し、肉骨粉の肥料としての流通再開を目指したかったようですが内閣府の食品安全委員会からは反芻動物の肉骨粉の流通再開は認めないようで、この問題解決までの時間もあと1年です。BSE感染牛発見までは肉骨粉は肥料や飼料原料として使用されていましたがその後、流通は全面的に禁止され、段階的に現在はトリ・ブタ原料の肉骨粉の流通は飼料原料として流通が再開されています。
牛肉を消費する以上、必ず排出されると畜副産物の再資源化も真剣に考えなければいけないと思いますが?
11月1日 肥料価格が上がってきた
今日から11月、11月のスタートは帯広は雨になりました。
今朝、新聞を読んでいたら今日は「本格焼酎・泡盛の日」なんだそうですね。12月になると飲む機会が増えるので11月は肝臓を休ませる月にしたいのですが、月初めから焼酎の日ではね?
また、どうやら肥料価格が値上がりを始めているようです。2年前の異常なほどの値上げ以降下落傾向にあった化学肥料の価格でしたがここに来て新興需要国の需要拡大が原因のようです。世界的な資源の争奪状況下では円高差益も関係ないようです。先日のブログでも書きましたが、肥料の削減技術や身近にある有機物などの有効活用も含め今後の営農戦略を練っていかなければいけませんね。
10月19日 牛炭化物はリン肥料として確実な肥効を示す
今朝は帯広で平年より7日遅れの初氷が観測されました。道内各地でもこの秋一番の冷え込みになったようですが、確実に冬に向かっていることは間違いないようですね?
昨日は、死んだ牛を炭化し肥料利用の研究を行っている酪農学園大学の松中先生のところへ伺ってきました。
すでに農業新聞や日経新聞などにこの研究のことが掲載されましたが、直接詳しい内容を聞かせて頂きました。
今のところ、死亡した牛やと畜された牛の骨などを肥料利用するには法律上の制限がありますが、リン肥料としての高い肥効があることは間違いないようですし、当社が永年にわたり取り扱ってきた「骨炭」の肥効が改めて実証されました。
なお、この松中先生の研究は先月札幌で開催された日本土壌肥料学会でも発表され、12月には同じく札幌で開催される日本土壌肥料学会北海道支部秋季大会と北海道草地研究会発表大会で発表されます。
10月14日 肥料資源の確保
ここに来て、降雨の日が多いような気がします。猛暑でありながら湿害に見舞われた年でしたので収穫の終わった畑では排水対策としての暗渠工事も各地で積極的に行われているようです。
農産物の生育には欠かせない肥料ですが、先日の日経新聞で肥料原料の世界的な争奪競争の中でどう確保するのかという特集記事が掲載されていました。
一般的に肥料のチッソ、リン酸、カリは三大要素と言われますが、工業的に生産可能なチッソ以外のリン、カリはそのすべてを輸入に依存しています。また100%輸入に頼るリンに関しては原料となるリン鉱石の輸入先は中国が大きなウエイトを占めます。
爆発的な人口増加と経済発展に伴う食料確保を行わなければいけない国内事情から察するに果たして安定的な肥料原料の輸出をわが国に対して行ってくれる補償などどこにも無いのではないでしょうし、様々な問題を抱える昨今の日中関係から考えるとレアアースの輸出規制などが容易に考えられるのではないでしょうか。
仮に輸出を継続がされるとはいえ、以前のアメリカのように原料の輸出は禁止し付加価値を高めた製品(リン安)のような形での輸出形態をとる可能性だって大有りだと思います。
いずれにせよ肥料価格の上昇は避けて通れないことは明らかであるならば、今まではコスト面の問題などがあった国内の肥料資源の利用の可能性を早急に見出すべきと考えます。
先日、飼料工業会の専務理事さんと帯広で懇談した際、世界的には飼料も肥料も原料の確保は、もはや商社などの民間レベルでは太刀打ちできず国家レベルでの交渉ごとだと語り、そこでの国としての危機意識の低さに憤りを感じると話していたのが印象的でした。
9月29日 優れたリン酸の実証
中国漁船船長逮捕に端を発した尖閣諸島問題でハイブリッド車などに使用されるレアアースの輸入が停滞している問題ですが、ハイテク関連に限らず農業界ではリン資源は鉱物資源として日本国内に存在しないためその多くを中国からリン鉱石という形で輸入しています。
以前、このブログでも書いたことがあると思うのですが、西暦2000年頃まではリン資源はアメリカからの輸入が多くを占めていましたがその後、アメリカは原料としてのリン鉱石を輸出禁止の措置を行い、リン酸アンモニウムという製品の形にし輸出しています。
食料自給率の向上も大事かもしれませんが、実は農作物を作るための肥料(リン酸とカリ)もその多くを輸入に頼っているのです。
そんな中、今月札幌で開催された「日本土壌肥料学会」で酪農学園大学の土壌植物栄養学の松中照夫先生が食肉加工に利用された家畜の骨を炭化させ、そこに含まれるリンが非常に優れた肥料効果を表すとの発表をされました。
正しく当社が永年に渡って販売を行ってきた「骨炭」のことなんです。
松中先生は、当社らが帯広畜産大学と「廃肉骨粉の再資源化」の共同研究のことも存じ上げていただいていましたので近々お会いし情報の交換をさせていただく予定です。