児玉ヘルス商事株式会社
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8月12日 最近の酪農情勢に思う

心配された台風11号も十勝ではさほど大きな被害は出なかったようです。甲子園で開催される夏の全国高校野球選手権大会も開会式を含め二日も順延するなんてことも前代未聞だったようです。こんなところにも最近の気象状況の変化が感じられますね。

私が畜産関係の飼料販売に携わり30年ほどになりますが、最近の酪農をめぐる状況に心配なことが多く感じられます。現在、世界的には中国を始めとして振興工業国の経済発展に伴い乳製品の国際価格が上昇しているようですが、一方、日本国内においては少子高齢化や人口減少による胃袋のサイズダウン以上に、全国的な酪農家戸数の減少により生乳生産は需要に追いつかないほど生産も伸びていないようです。

今日の日本の酪農はアメリカやカナダなど北米を中心とした地域からの大豆やトウモロコシなどの穀物飼料とその飼料給与技術、乳牛の遺伝的改良により発展してきたことは間違いない事実です。しかしながら現在、バイオエタノール向け需要などによる輸入穀物価格の上昇、日本政府の金融緩和政策による円安誘導の結果、輸入品の価格上昇による生産費用の増加にも拍車が掛かっています。

私にはよく理解が出来ないのですが規模拡大によるスケールメリットの追求などの掛け声により、草地基盤以上の乳牛飼養は必然的に外部からの資材調達率の増加を招き、結果的に自助努力では如何ともし難い円安や海外での穀物価格の上昇に振り回される経営を招きます。

一般的な製造業であるならば、それぞれの企業において原材料価格の上昇分を製品価格の値上げとして転嫁を図る事になるのでしょうが、護送船団の酪農業界においては、既得権を持った指定団体のみに乳価の交渉をゆだねなければならず、そのシステムは昔、生乳が過剰生産され生産調整の一環として食紅を入れて廃棄処分した時と何ら変わっていません。

酪農家が生産した生乳と言うのは、出荷先が所属する地元のJAと言うのが通例で、隣のJAが高く買ってくれるから隣のJAに集荷して貰うと言うシステムではありません。ところが最近、全国的に乳業メーカーの原料となる生乳不足により、ここ十勝管内の酪農家が単独で関東圏の乳業メーカーに直接原料を供給し始めたと言う話を聞きました。詳しい内容については判り兼ねますが、需要と供給の原則から言うならばモノが不足しているときにモノの価格は上がり過剰になれば価格は下がると言うのが常識です。野菜などは過剰になり出荷しても採算が合わなければ畑に鋤き込むなどと言うことは今でも良く聞く話です。酪農業界においては暗黙のルールで北海道は価格の安い原料乳向け、本州は価格の高い飲用乳むけと言うものがあります。おそらくこれは力の弱い本州の酪農家を守るための方法だったと思われますが、その本州の酪農家の離農も進む一方で原料乳の供給を受けなければ死活問題となる乳業メーカーが暗黙のルールを破り高く売りたい酪農家と原料供給を受けたい乳業メーカーの思惑が一致した結果だと思われます。

私がこの業界に入り、暫くしてから急激に酪農家の規模拡大が進み始めました。1頭1頭の乳牛を繋いで飼養する方法から、フリーストール方式と言い、沢山の乳牛を繋がずに飼養する方法です。確かその時の私の記憶では来るべき乳価60円代の時代に向けてと言う言い方であったはずです。ところが最近の乳価は90円も越している所もあります。来るべき60円台乳価時代に向けて規模を拡大した酪農家は果たして儲かっているのでしょうか?
個人差は別としてですが、本来であるならばオールハッピーになっていなければいけないのではないでしょうか。

このような状況下でも酪農家戸数はなぜ減少していくのでしょうか。地域によっては新規就農者を積極的に受け入れる所もあるようですし、またその反対に全く担い手を育てようともしない地域もあるようですが。酪農家姉弟の跡継ぎに対する考え方も昔から比べると大きく変わっているようです。新たな担い手を育てると言うことは喫緊の課題だと感じます。

また私は自立した酪農経営と言うものは規模の大小や1頭当たりの年間乳量が高いとか低いなどの問題では無いと思います。為替相場や穀物輸出国の都合で如何様にもされてしまうシステムに乗らない酪農経営こそが今一番大事な事では無いでしょうか。

アメリカの余剰穀物と言うハードと、それを用いた飼養方法や乳牛の改良と言うソフトで、もはや穀物依存酪農から抜け出せない状況に冒された日本の酪農。私は、今まさにそこからの自立が試されているような気がしてなりません。そうでなければTPPによる関税撤廃で自国の畜産物を買えと言うやり方はあまりに理不尽だとは思いませんか?

 

 


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